肌の漂白剤で蝕まれる健康と美(下)
ケニア女性が白くなりたいと願う理由

  • 2019/9/19

時代とともに変わる美の基準

 われわれは、前回と今回の2回にわたってアフリカで広まる漂白剤の問題を取り上げ、ナイロビを中心に、ケニアの実情を探った。前編では、相次ぐ健康被害を受けて各国政府が漂白剤の使用を禁止しているにも関わらず、街ではいとも簡単に入手できてしまう実態を、そして後編では、「白」を求める美意識に翻弄(ほんろう)され、身を持ち崩してまで肌の漂白を行い、苦しむ女性たちの姿を伝えた。

ケニアの目抜き通りであるリバーロードの様子。通りに面して並ぶ美容店の一部では、肌の漂白剤も販売されている(著者撮影)

 美、あるいは魅力とは、時代や場所によって大きく異なる概念だ。例えば、平安時代の日本では、しもぶくれ、おちょぼ口、切れ長の目などが美の要素とされ、教養などの知性が美の重要な基準であった。また、少し前までのインドでは、マハラジャに代表されるように恰幅(かっぷく)の良い男性が財力を象徴しているとされ、女性を惹きつける存在だった。こうした歴史を振り返るならば、ケニア社会で今後、肌を漂白する代わりに、本来の黒い肌をより際立たせることが美の基準とされる可能性はある。

 現代社会が求める美の基準に多くの女性たちが押しつぶされていく中、ケニアで白を無条件に美とする前提は、はたして正しいと言えるのだろうか。一人一人の女性が持つ美しさに目を向ける時代が来ることを願う。

 

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