逆風を受ける国際支援、アフリカの視点
アメリカの援助縮小をケニアと南アフリカはどう報じているか
- 2025/11/28
アメリカのトランプ大統領が、国際開発局(USAID)を閉鎖するなど国際援助の縮小を打ち出したことで、援助を受ける側の国々ではさまざまな影響が出ている。なかでも影響が深刻だと言われるアフリカ諸国の報道ぶりを読む。

HIV/AIDSの血液検査の様子 (c) © Okae Ambrose Otee /wikimediacommons
危機に直面するHIV患者たち
ケニアの英字紙デイリー・ネーションは、10月29日付の社説で、トランプ大統領の援助凍結によってHIV感染者にどのような影響が広がっているかを論じた。
社説は「トランプ政権がアメリカの国際開発局を閉鎖したことは、これまで十分な資金に裏付けされた医療プログラムの恩恵を受けてきた多くのケニア人にとって破滅を意味した」と影響の大きさを表現し、「数十年にわたり続けられたHIVとの闘いにより生み出されていた確かな進歩が水泡に帰すことが懸念されている」と述べる。
具体的には、抗レトロウイルス薬を服用してきた患者は、医薬品の供給量が減ったことで通院回数が増え、費用がかさみ、負担が増えているという。また、HIV感染者の治療に不可欠なウイルス量検査も、USAIDの援助があった時には無料で受けることができていたが、今は3000シリング(約23ドル)の費用がかかるという。「HIVという壊滅的な病気と闘っている多くの貧しいケニア人にとって、およそ手の届かない金額だ」と、社説指摘する。
改革を迫られる国連機関
南アフリカの英字紙メール・アンド・ガーディアンは、10月に80周年を迎えた国連について10月1日付の社説で取り上げ、国際援助について考察した。
社説は、「国連は残忍で広範囲にわたる紛争、深刻な不平等と不正義、甚だしい人権侵害、そして迫り来る脅威によって傷ついた世界の中でこの記念日を迎えた」と述べる。そして、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で国連を「無意味な存在」だと切り捨てたことにも触れ、「彼は193の加盟国を結び付けてきた平和維持、地球規模の課題への対応の組織化、国際協力の促進、開発への資金提供といった原則そのものに疑問を投げかけた」と指摘した。
社説によれば、アメリカが開発および人道支援への資金のコミットメントを大幅に削減し、国連に対して支払っていない資金は2025年4月時点で30億ドルに上るという。「結果として生じた財政不足は、世界各国で国連が行う人命救助活動を阻害している」と、社説は言う。
もっとも、国連が資金不足に陥っている理由を、トランプ政権のせいばかりにはできない。実際、2024年時点で国連に要請された人道支援資金は500億ドルに上ったが、実際に集められたのはその半額に過ぎなかった。この現実は、国連の活動そのものに懐疑的な国がアメリカ以外にもあるという事実を示している。社説は、「資金の不足によって、1160万人の難民と、十分な食料を得られない1670万人への資金の提供が脅かされている」と指摘する。
財政状況が悪化したことを受け、国連は組織的なコスト削減や改革を加速せざるを得なくなった。社説によれば、グテーレス事務総長は、2026年度予算より国連プログラムの15%に相当する5億ドルを削減するほか、職員の19%削減と平和維持予算の11.2%削減を打ち出し、事務所をニューヨークやジュネーブからより安価な都市に移転すべく取り組んでいるという。「改革を進めなければ崩壊する危険性に直面しているという緊急事態を国連は明確に認識している」と社説は言う。
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国際援助も、それを担う国連も、ともにトランプ政権の出現によって重大な岐路に立たされている。単に援助額の増減についてのみならず、援助機関への依存を含めた国際支援の在り方そのものを考える必要に迫られていると言えるだろう。
南アフリカ:
https://mg.co.za/thought-leader/2025-10-01-the-un-at-80-adapt-or-die/












