「クーデター下のミャンマー、陸路の旅」
18カ所のチェックポイントを通過
- 2021/12/23
ヤンゴンへの帰路
久しぶりのマンダレーも2泊3日で切り上げ、朝6時頃にホテルを出て、まっすぐヤンゴンに向かった。来た時と同じように、ハイウェイには車が少なかった。
ただ一つ、奇妙なことがあった。まったくチェックポイントに出会わないのだ。ヤンゴンを出た時にはすぐにチェックポイントが出現した上、その後も40〜50分おきに次々と車を止められ、行き先を聞かれた。ところが、マンダレーからネピドーのあたりまでは、一つもチェックポイントがなかった。
その代わり、というわけでもないが、我々の車は軍の車列を次々と追い越した。数えていなかったため、正確な数は分からないものの、50台は下らなかっただろう。その多くはトラックで、幌をピッタリと下ろして何を積んでいるか全然分からなかった。中には、軍か民間なのかはっきりとしない車両もあったが、ナンバープレートがなかったため、軍関連の車両だと想像できた。軍の車両は、たいてい、ナンバープレートを外しているからだ。
ネピドーを過ぎたあたりから、チェックポイントが出てきた。数日前にヤンゴンを出てきた時とほぼ同じ場所にあった。それらのチェックポイントを特に問題もなく通り、ヤンゴンに到着した。
旅行許可証と賄賂
結局、今回の陸路の旅で通ったチェックポイントは、合計18カ所だった。そのうち、15カ所は、行き先を尋ねられ、車内を目視チェックする程度ですぐに通ることができた。残りの3カ所では旅行許可証を提出するよう求められたものの、身分証明書やパスポートを提示させられることはなかった。また、1カ所では、車のトランクを開けて荷物検査があった。
現在、陸路で移動する際は、基本的に旅行許可証が必要だ。ただし、ミャンマー人が自分の居住する場所や実家に戻る場合には、この許可証がなくても通れると聞いている。この旅行許可証は、自分が住んでいるヤックエ(地区の役所)で発行してもらうが、仕事で移動する場合は、関連する所轄省庁から発行してもらう。
筆者が経験したのは、ミャンマーの一部の地域だけでであり、全ての陸路で同じような検査体制が敷かれているのかどうかは、分からない。もちろん時期によっても大きく異るだろう。
カレン州のパアンからつい最近、ヤンゴンに戻ってきた友人の話によれば、多くのチェックポイントで賄賂を要求されたという。逆に言えば、賄賂さえ渡せば、車の中に誰がいても、何を積んでいても、スルーで通ることができるということだ。カレン州では、今まさにカレンの民族軍であるKNUやKLNAと軍との間で大規模な衝突が起きている。にも関わらず、賄賂を渡せば通行できるとは、ミャンマーの軍は一体どうなっているのだろうか。