イスラエルの「大量虐殺キャンペーン」を黙認するな 国際社会は行動を
西欧諸国はイスラエルを停戦交渉のテーブルに戻せるか
- 2024/9/13
パレスチナ・ガザ地区で民間人の殺戮が止まらない。8月10日、多くの住民が避難していた学校をイスラエル軍が空爆し、70人以上が死亡した。報道によると、イスラエル側は、標的とした学校について「イスラム組織ハマスなどが軍事施設として利用していた」と説明している。
生きたまま焼かれた子どもたち
パキスタンの英字紙ドーンは8月13日付で、「ガザの学校での虐殺」と題した社説を掲載した。
社説は「イスラエルは、約2400人のパレスチナ人が避難していた学校を攻撃した。少なくとも100人が死亡したと発表されている。遺体の多くは黒く焼け焦げ、バラバラになっていた」と悲惨な状況を伝えた。
社説は、ガザ地区での紛争を「大量虐殺キャンペーンと言った方がいい」と強く非難する。「イスラエル軍は、学校や病院、食料を求めて列をつくる人々を、ハマスを攻撃するという名目の下でほとんど無差別に攻撃してきた。ハマスのテロリストと指揮官を狙った、とイスラエル側は言うが、子どもたちを含む無数の非戦闘員を生きたまま焼き殺し、バラバラにしたことを正当化できるものではない」
さらに、今後の展開について、「イスラエル側が停戦交渉に真剣に取り組むとは考えられない」と指摘したうえで、「戦争が拡大する可能性はかなり高い」と警戒を示す。国際社会は停戦に向けて働きかけを続けているが、社説は「西側諸国がイスラエルをけん制する気がないのは明らかだ」と述べ、その姿勢を批判している。
国際法を無視する「ならず者国家」と批判
バングラデシュの英字紙デイリースターも8月13日、イスラエルによる学校やモスクへの攻撃を強く非難する社説を掲載した。
社説はイスラエル軍がこの攻撃に「精密な弾薬」を使用したと述べていることを指摘。「罪のない一般市民を殺害するためにこのような綿密な爆弾を用いる作戦を立てたことは、ガザ地区でイスラエルによる軍事作戦の真の目的を改めて示すものだ」と批判した。そして、「国際法によれば、仮に学校に避難していた人々の一部が過激派だったとしても、イスラエルは彼らを攻撃する過程で多くの民間人を巻き込むことはできない」と指摘。「このならずもの国家は、国際法をまったく尊重していない」と厳しく非難し、次のように訴えている。
「ネタニヤフ首相は戦闘を意図的に長引かせ、政治的に利用しようとしている。西側諸国はイスラエルを交渉のテーブルに戻し、無防備なパレスチナ人へのさらなる攻撃を食い止めなくてはならない」
「腹いせ」で他国の主権を侵害するネタニヤフ政権
インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは、イスラエルに対しガザ地区での即時停戦を求める社説を8月2日に掲載した。同紙も また、国際社会の適切な関与が必要だと主張している。
社説は、イスラエルのネタニヤフ政権について「地域のライバル国家の主権を『腹いせ』で侵害することを常態化させてしまった」と批判。「政治的に生き残るために、人命を軽視するこのような行為が他の紛争に波及しないことを願うばかりだ。もしそうなれば、第二次世界大戦以降続いてきた平和に終止符が打たれるだろう」と、懸念を示す。
「中東和平の実現が危ぶまれる中、国際社会は地政学的な境界線を越えて、紛争の終結を求めるべきだ。そしてイスラエルは、ハマス撲滅という名目の下で、罪のない一般市民をこれ以上殺害してはならない。パレスチナ人の犠牲者数は、2023年10月7日にハマスの攻撃を受けて犠牲になったイスラエル人の人数の30倍以上に上っている」
(原文)
パレスチナ:
https://www.dawn.com/news/1851973/school-massacre-in-gaza
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/israel-gets-away-another-war-crime-3676041
インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2024/08/02/enough-is-enough.html