「最も深刻なレベル」にあるガザの飢饉に今すぐ行動を
「人災」を止められぬ国際社会に募るもどかしさ

  • 2025/9/29

 国連安全保障理事会は8月27日、パレスチナ自治区ガザについての共同声明を発表した。この共同声明には全15理事国のうちアメリカを除く14カ国が署名し、ガザの飢饉を「人災」と位置付けたうえで、「直ちに止めなければならない」と速やかな対応を訴えた。また、ガザとの境界を封鎖して支援物資の輸送を阻むイスラエル政府に対し、制限を無条件で解除するように方針転換を求めている。アジア地域の新聞各紙にも、ガザの飢饉についての社説が並んだ。

4歳のパレスチナ人の女の子。栄養失調と医療の不足により亡くなった (2024年8月14日撮影) (c) UNRWA / Wikimedia commons

イスラエルは「完全な嘘」だと一蹴
 バングラデシュの英字紙デイリースターは、8月24日付の社説で「いかなる代償を払ってもガザの飢饉を防げ」と訴えた。
 社説は、食料危機の深刻度を評価する国連の「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」において、ガザ市および周辺地域で「飢饉が発生している」と宣言されたことを指摘。これは最も深刻な段階であり、アフリカ以外で宣言されるのは初めてだという。IPCによると、ガザ人口のほぼ4分の1にあたる約51万4000人が飢饉状態にあり、この数は9月末までに64万人を超える見込みだ。
 しかし、「意図的な飢餓と支援妨害の圧倒的な証拠があるにもかかわらず、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はIPCの調査結果を『完全な嘘』だと一蹴した。この否定は深く憂慮すべきものだが、もはや驚くべきことではない」と社説は述べる。
 「ガザの飢饉はどんな犠牲を払っても回避されねばならない。食料と医薬品が国境検問所で滞留するなか、子どもを含む罪なき民間人が、死の危機に直面している。ガザの人々が必要としているのは、もはや同情などではない。行動こそが求められる」

ガザは人類の良心に刻まれた汚点
 パキスタンの英字紙ドーンも、8月25日付の社説で、「ガザが人為的な飢饉のただなかにあるという醜い事実を、否定やごまかしで変えることはできない」と述べ、イスラエルを強く批判している。
 社説は、ナチス・ドイツの歴史をイスラエルが再現している、と厳しく指摘する。
 「イスラエルでは、ナチス・ドイツによって多くの長老が虐殺され、飢え死にさせられたにもかかわらず、現在の支配層は第三帝国の忌まわしい戦術を再現しようとしているようだ。ガザは現代の強制収容所へと変貌し、罪なき子どもたちを含む何万人ものパレスチナ人が、ヒトラーの軍隊がユダヤ人を虐殺したのと同じような手法で殺害されている」
 社説は、「ガザにおけるジェノサイドと飢餓が、人類の良心に刻まれた汚点であることに疑いの余地はない」と、強い言葉で表現する。そしてバングラデシュ紙と同様に、「空虚なレトリックや哀悼の言葉はパレスチナ人の苦境を和らげない」と述べ、世界に行動を求めている。

見せかけの支援より、明確な意思表示を
 一方、インドネシアの英字紙ジャカルタポストは、インドネシア政府に対し、「パレスチナ問題に対する立場を明確にせよ」と求める社説を8月7日付で掲載した。
 社説は、国連の共同声明を受け、「世界の潮流は、ゆっくりではあるが確実にパレスチナ人民への正義へと向かっている。インドネシアはガザの破壊に対し、批判の声を弱めたり、見せかけの人道主義を口実に口を閉ざしたりしている場合ではない」と主張。「インドネシアはガザでの長期化する戦争に対する曖昧な姿勢を改め、パレスチナの大義を支持する道義的立場を明確に示すべきだ」と訴えた。
 社説によると、インドネシアはガザに1万トンの米を送ると公約しているという。だが、イスラエルの国境封鎖により、実質的にガザに持ち込むことができない現状においては、「ガザに事実上のアクセスを持たないインドネシアが、パレスチナ人の苦しみの根源と向き合うことよりも、支援しているフリをするのに熱心だという誤った信号を送ることになる」と手厳しく批判している。


(原文)
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/prevent-gaza-famine-all-costs-3969551

パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1937056/gaza-famine

インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/08/07/speak-boldly-indonesia.html

 

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