「署名」だけでは終わらない イラン停戦を支えるものとは
戦争を止めるのは軍事か外交か イラン危機をめぐる二つの視点

  • 2026/7/8

 6月17日に紛争終結に向けた合意に署名をしたイランとアメリカだが、6月下旬には互いに攻撃をし、「停戦違反だ」と非難し合っている。6月28日、アメリカのメディアは両国が「緊張を緩和する」ことで合意したと報じたが、ホルムズ海峡の開放を含め、その行方は不透明だ。

 パキスタンとインドの主要紙は、それぞれ異なる角度から今回の危機を論じた。一方は「停戦を維持する外交」の重要性を、もう一方は「戦争を正当化しない宗教」の役割を訴えている。

史上初のアメリカ出身の教皇、レオ14世は「戦争は決して神に祝福されるものではない」というメッセージを繰り返し発している (c) Edgar Beltrán / The Pillar /wikimediacommons

パキスタン紙は「対話と仲介による補強が必要」と強調

 この対立において仲介国の一つであるパキスタン。同国の英字紙ドーンは、6月28日付の社説でこの問題をとりあげた。

 社説は、「停戦は署名しただけでは維持できず、双方の政治的自制が欠かせない」と指摘する。さらに、偶発的な衝突から全面的な軍事衝突へ発展することを防ぐため、合意で定められた「衝突回避メカニズム」を速やかに発動すべきだと訴えた。

 また社説は、「自制のみに依存する停戦は脆弱であり、継続的な対話と積極的な仲介があって初めて持続する」として、仲介役であるパキスタンの存在感を強調する。

 社説は、「外交上の突破口は、長いプロセスの始まりに過ぎない」と述べ、停戦を定着させるためには忍耐と信頼構築が不可欠だと締めくくっている。

インド紙は教皇の「神は戦争を祝福しない」という発信に注目

 一方、インドの英字紙タイムズオブインディアは6月28日付の社説で、アメリカ出身の教皇レオ14世が「戦争は決して神に祝福されるものではない」と繰り返し発信していることに注目し、戦争に反対する最も説得力のある声として伝えた。

 社説は、この言葉が新鮮に響くのは、「戦争には正義がある」「神は自分たちの側にいる」といった主張を私たちが聞き慣れてしまい、「馴染み深いBGM」のようになっているからだと指摘する。その背景には、宗教指導者や政治家、軍関係者が、それぞれの戦争に神聖な大義を与えてきた歴史があるという。

 さらに社説は、レオ14世の姿勢は、アメリカでつよい影響力を持つキリスト教右派から反発を受ける可能性がある、との見方を示す。そのうえで、「史上初のアメリカ人教皇が誕生した意味は、戦争を好む宗教的な言説に対抗する”力強い道徳的な声”を世界に示すことにある」と論じる。

 社説は、こうした問題はアメリカだけでなく、世界のさまざまな宗教ーーその中には日本の「禅」も含まれるーーが歴史の中で戦争を正当化してきた、と指摘する。そして、「神はいかなる側にも立たず、すべての人間に宿る存在だ」という教皇のメッセージは、世界中の宗教指導者が繰り返し説くべきものだ」と結んでいる。

             *

 一方の社説は外交の力を、もう一方は宗教の倫理を重視する。アプローチは異なるものの、「停戦は軍事力だけでは守れない」という点では、両紙の問題意識は共通している。

 

(原文)

パキスタン:

https://www.dawn.com/news/2011280/truce-tested

インド:

https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/magnificus-leo/

 

 

 

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