アメリカのトランプ大統領が「平和評議会」の設立を発表
判断を迫られる各国 対応分かれたタイとカンボジア

  • 2026/2/21

 アメリカのトランプ大統領は1月22日、世界経済フォーラムの年次総会が開かれていたスイス・ダボスで、「平和評議会」の憲章に署名し、同評議会の設立を発表した。アメリカはロシアや中国を含む多くの国をこの評議会へ招待しており、各国は判断を迫られている。
 署名式典には、創設メンバーとして、バーレーン、モロッコ、アルゼンチン、アルメニア、アゼルバイジャン、ブルガリア、ハンガリー、インドネシア、ヨルダン、カザフスタン、コソボ、パキスタン、パラグアイ、カタール、サウジアラビア、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、ウズベキスタン、モンゴルの首脳らが参加。議長は無期限でトランプ大統領が務める。メンバーの任期は原則3年だが、1年以内に10億ドルを超える現金拠出した国は「常任理事国」となる。意思決定は加盟国過半数に加え議長承認を要し、執行理事会の決定も議長が事後に拒否できる規定が置かれている。

平和評議会の設立調印式(2026年1月22日撮影)© President.az /wikimediacommons

創設メンバーとしての参加を表明したカンボジア

 トランプ大統領が紛争を仲介したカンボジアとタイもそれぞれ評議会への招待を受けたが、対応は分かれている。

 カンボジアのフン・マネット首相は1月26日、アメリカのインド太平洋軍司令官サミュエル・パパロ提督と会談した際、トランプ大統領が提唱した「平和評議会」への参加を表明した。創設メンバーとしての参加で、常任理事国ではないため、10億ドルの出資金の支払いは不要であることも明かした。

 1月27日付のクメールタイムズ紙によると、フン・マネット首相は平和評議会への参加について、「善意、平和への愛、平和構築への支援と貢献は、いずれもカンボジアが常に堅持してきた原則だ」と述べた。

 また、トランプ大統領が昨年10月にカンボジアとタイの停戦を仲介し、マレーシアでの「クアラルンプール共同声明」の調印式に立ち会ったことに対して感謝の意を示した。

タイは「ガザの廃墟を超える野心」を警戒

 一方、タイは、評議会への参加に消極的だ。1月21日付のタイの英字紙バンコクポストは、「平和評議会の代償」と題した社説を掲載している。

 社説は、「常任理事国として参加することにはリスクが伴う。この席を得るために設定されている価格は法外であり、外交上の好奇心を上回るものが求められる」と述べる。

 さらに、トランプ大統領が終身議長として後継者の任命権とメンバーの解任権を掌握する同理事会の構造について、「ガザの廃墟を超えた野心で、国連に代わる新たな枠組みの創設すら視野に入れている」と、警戒心を示した。また、「この理事会の設計からは、国連安全保障理事会を迂回するか、置き換える意図が透けて見え、南シナ海からウクライナに至る高リスクの火種をモスクワや北京の拒否権発動により制約を受けずにワシントンが独自の条件で管理することを可能にする」とも指摘した。

 社説は、タイがこの平和評議会の常任理事国になった場合、国際的な地位が向上することは魅力的だとしながらも、「巨額の拠出金は国内への影響が甚大」だと指摘する。「これは、通常の外交貢献ではなく、運営の透明性が未検証で国際秩序における最終的な役割も不透明な、アメリカ主導の新組織に巨額の公的資金を移転することを意味する。政府がこうした法外な支出を強行すれば、国民から激しい批判の嵐に直面するだろう」。

 平和評議会の仕組みが報じられるにつれ、その思いは強まる一方だ。バンコクポスト紙の社説は冷静な分析だと言えよう。

 

(原文)

カンボジア:

https://www.khmertimeskh.com/501834009/pm-says-cambodia-will-participate-in-trumps-board-of-peace-will-not-have-to-pay-1-billion-joining-fee/

タイ:

https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/3179798/peace-board-price-tag

 

 

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