存在感を増すBRICSを東南アジアはどう見ているか
加盟国の拡大で世界のGDPの約4割、人口の過半数を占める枠組みに成長

  • 2025/8/18

 新興国で構成する多国間の枠組みBRICSの首脳会議が7月6日から2日間、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた。現加盟国である中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカに加えて、新たに加盟したインドネシアなどが参加した。
 BRICSには、2024年にエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦、サウジアラビアが加盟し、2025年にはインドネシアが加盟した。また、2025年1月1日付でベラルーシ、ボリビア、カザフスタン、キューバ、ナイジェリア、マレーシア、タイ、ウガンダ、ウズベキスタンもパートナー国として参加。いまや世界のGDPの約4割、人口の約56%をカバーする枠組みとして存在感を増している。

ブラジル・リオデジャネイロで開かれた第17回BRICS首脳会議で発言するブラジルのルラ大統領(前列右から2番目)。その他の出席者は、南アフリカのラマポーザ大統領(前列右端)、インドのモディ首相(前列左から2番目)、中国の李強首相(前列左端)ら。(2025年7月7日撮影)(c) AP/アフロ

インドネシアは反西側同盟化への反対を明言

 2025年の正式加盟後、初めて首脳会議に参加したインドネシア。同国の英字紙ジャカルタ・ポストは7月7日付の社説で、「BRICSへの加盟は、国際社会におけるインドネシアの地位が認められたものととらえるべきであり、わが国がグローバルな開発に影響力を持つという意味がある」と、主張した。
 社説は、BRICSが「現在のグローバルな経済・金融構造が不公平で不正義であるため、その改革を主な議題として掲げている」と指摘したうえで、「インドネシアもその姿勢を共有するものだ」と述べる。また、「脱ドル化」についても、「わが国では、BRICSに加盟する以前からASEAN内でもこの取り組みがすでに始まっている」と指摘し、「我が国の国益に合致する目標だ」と、主張した。
 ただし社説は、「BRICSを反西側同盟と位置付けること」について、「唯一、賛同できない議題」だとの立場を示す。そのうえで、「中国やロシアにはBRICSを反西側同盟としたい思惑があるかもしれないが、インドネシアは、インドやブラジル、南アフリカとともにその動きを阻止するだろう」と、指摘する。
 さらに社説は、「インドネシアは、世界的に強まっている地政学的な二極化への圧力に対抗すべきだ。その力と影響力を活用して、多極的な世界を引き続き推進すべきだ」と主張した。また、イスラエルとイランの戦争やウクライナ、ガザ問題については議論を避けざるを得ないBRICS諸国が「唯一合意する」のは、トランプ米大統領が繰り広げている関税戦争だと指摘。「インドネシアは、グローバルサウスの利益にかなう方向にこのグループを主導的な役割で導くべきだ」と、期待を寄せている。

バランスの取れた外交の重要性を強調するタイ

 今年からBRICSのパートナー国になったタイでも、トランプ米大統領の関税措置が話題になっている。バンコクポスト紙は、7月14日付の社説「BRICSの脅威に立ち向かう」で、「タイもアメリカの関税戦争の標的になる可能性が高い」と、危機感をあらわにした。
 社説は、トランプ大統領が「反米政策」を理由に、BRICS諸国に10%の追加関税を課す可能性があると警告した。特に、タイからアメリカへの輸出品には36%の関税が課されると見られているが、トランプ大統領の標的になれば、これが46%に引き上げられる可能性がある。
 しかし社説は、こうした「脅威」に直面しても、「タイは原則として地域的または国際的なプラットフォームへの参加を試みることに消極的になってはいけない」と主張し、「超大国の対立が深まるなか、タイは、どの極にも過度に依存しない、バランスのとれた外交政策を目指している」と、続ける。
 「政府は交渉スキルを磨き、外交チャンネルを活用して(トランプ関税の)影響を軽減する必要がある。いかなる関税合意であっても、戦略的な長期目標を犠牲にするようなことがあってはならない。分断され、対立が激化する世界において、タイがBRICSと連携する理由は、国際社会への反抗ではなく、あくまで目的を持った外交なのだから」

 

(原文)
タイ:
https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/3068482/facing-down-brics-threat

インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/07/07/not-just-another-brics-in-the-wall.html

 

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