「コロナ対策の優等生」ベトナムでデルタ株が感染爆発 
最大都市ホーチミンが第4波の中心に 夜間外出禁止令も

  • 2021/8/9

粘り強さと助け合いで困難を乗り越える 

 コロナ禍におけるベトナムの現状や過去の経緯を振り返るたび、突然下されるトップダウンの決定に素直に従う国民の姿勢に感心させられる。すでに述べた通り、事実上のロックダウンや夜間外出禁止令などの措置は、決定されてから数日も経たずして実施されることが多い。無断で外出して罰金を課せられたケースも報道されるが、抗議活動やデモが起きることはなく、皆、政府や地元人民委員会の指示におとなしく従っている。筆者と家族同然の付き合いがある大家さん一家は、「静かに家にいて去ってくれる災難であれば、そうした方がいい。一生続くわけじゃないのだから」と、笑顔を見せる。ベトナムの戦後を生き抜いた人たちの強さか、楽観的な人柄ゆえか分からないが、筆者はいつも元気をもらっている。
 最近、住民にワクチン接種の申し込みを呼び掛けるためにホーチミン市8区が制作したQRコードが、SNS上で「かわいい」と話題を呼んでいるため、紹介したい。非常時でも遊び心を忘れないベトナムの人たちのポジティブさに何かと支えられていると改めて感じる。

「かわいい」と話題になっているワクチン接種申し込みのQRコード (c) https://kenh14.vn/ma-qr-dang-ky-tiem-vaccine-tai-tphcm-khien-cong-dong-cuc-ky-thich-thu-vi-qua-dang-yeu-20210804192353601.chn

 ホーチミンでは、ロックダウンが本格化した7月中旬より、個人経営のレストランや地域の青年団などが生活困窮者向けに食料品の差し入れなどの支援活動を続けている。アパート1棟が丸ごと封鎖された友人宅にも、近くの市場から野菜が届けられたそうだ。

チャリティコンサートは医療スタッフたちに休息と笑顔を届ける (c) https://tuoitre.vn/cam-van-toc-tien-le-minh-hat-o-benh-vien-da-chien-so-11-tai-thu-duc-20210803184918752.htm

 また、医療現場で日々、奮闘する医師や看護師たちをねぎらおうと、歌手やコメディアンたちも慰問を重ねている。ホーチミン郊外のトゥードゥック区にある野外病院で行われたステージは、きらびやかな衣装も演出も一切なく、出演者たちは医療従事者と同じ防護服とマスク姿でステージに臨み、彼らへの敬意を表した。

 ベトナムの人たちは、持前の明るさと強さによって、必ずやこの厳しい局面を乗り越えられると信じている。

 

ページ:
1

2

関連記事

 

ランキング

  1.  政治的な分断が深まるアメリカで、意外な超党派協力が生まれています。かつて新型コロナウイルス対策…
  2.  2017年、ミャンマー軍による大規模な弾圧を逃れ、70万人を超えるロヒンギャが隣国バングラデシ…
  3.  2021年8月にイスラム主義勢力タリバンがアフガニスタンで復権してから5年が経ちました。世界各地で…
  4.  2021年2月のクーデターから5年あまりが経ったミャンマー。2025年末から2026年初めにか…
  5.  アメリカと中国は、2026年9月に開かれた首脳会談で、人工知能(AI)のリスク管理に向けた対話…

ピックアップ記事

  1.    タリバンがアフガニスタンで再び政権を掌握してから、今年8月で丸5年。その節目に、2025…
  2.  ネパールと中国の国境沿いで8月26日、大規模な鉄砲水と土石流が発生しました。原因の一つとして指摘さ…
  3.  2026年8月、ネパール中部を大規模な土石流が襲いました。ヒマラヤでは気候変動に伴う氷河の融解…
  4.  2017年8月25日、ミャンマー西部ラカイン州でロヒンギャの武装勢力が国境警察施設を襲撃したことを…
  5.  ミャンマー西部ラカイン州に多く暮らす少数派イスラム教徒ロヒンギャ。長年にわたり市民権を認められ…
ページ上部へ戻る