3カ月ぶりに市中感染のベトナムがイベントシーズンに突入
予防対策を徹底しつつ熱が入る国内需要の喚起策

  • 2020/12/7

目白押しの商戦に人出も増加

 Thuさんの結婚式と披露宴は、来年1月4日に行われるそうだ。特に南部は11月末から2月上旬まで乾季に入り、過ごしやすい気候になるため、絶好の結婚式シーズンを迎える。日本でいう「大安吉日」の週末には、市内の結婚式場やレストランが賑わいを見せる。

イオン行きのシャトルバスにブラックフライデーの広告が掲示されていた(筆者撮影)

 先週末は、ベトナムでもおなじみとなった「ブラックフライデー」商戦が熱く繰り広げられ、ファッションをはじめ、日用品や食料品を扱うスーパー、そしてエステ業界まで大幅な割引を伴うセールを実施した。日本人に馴染み深い話題としては、「無印良品」がベトナムに初出店し、グランドオープンを実施したのがブラックフライデーと重なり、かなりの人出だったという。

ホーチミン市内にある教会の敷地では、毎年恒例のクリスマスマーケットが開かれていた(筆者撮影)

 次は、クリスマス商戦だ。10月末のハロウィンが終わるやいなや、当地でもクリスマス用品を扱う店が続々と登場した。加えて、1月や2月には、旧正月のテト(2021年の元日は2月12日)が控えている。ベトナムの最大のイベントといっても過言ではなく、例年、消費も人の移動もテトに向けてピークを迎える。ベトナムの人々は、もともとイベントが大好きだ。2020年の上半期はコロナ禍で集会やイベントが中止か縮小傾向にあったため、人々は例年以上に購買意欲が上がっている印象を受ける。

国内旅行を推進するキャンペーンがスタート
 ベトナム政府は、年末まで外国人観光客の受け入れをしないという方針を打ち出している。また、統計総局(GSO)の発表によると、10月の外国人訪問者数は前月比7.6%増の約1万5000人弱で、前年の同月と比べると99.1%減少した。1月~10月期の外国人訪問者数は約380万3000人で、前年の同時期に比べ73.8%減少したという。筆者も、先日、ホーチミン市の中心部に近い外国人バックパッカーが集まる安宿街ファングーラオを散策してみたが、空き店舗や長期休業を余儀なくされているところも多く、人もまばらだった。

バックパッカー街はシャッターの閉まった店舗が目立つ(筆者撮影)

 こうした状況を受け、旅行会社各社は起死回生に必死だ。ホーチミン市観光局によれば、市内の旅行会社がそれぞれ新たな観光商品の開発や地方間の提携プログラムを展開し、国内旅行の需要の喚起に努めているという。前述の通りホーチミンはこれから過ごしやすい季節に入り、絶好の旅行シーズンを迎える。年末には企業の社員旅行や福利厚生を兼ねた研修に泊まりがけの忘年会も増える。日本では近年、あまり聞かなくなった社員旅行もこちらでは一大イベントで、社員の家族総出でバスを貸し切るのは当たり前。飛行機でリゾート地を目指すケースもあるという。

観光客の激減したベンタイン市場の様子(筆者撮影)

 先日、2階建てのオープントップバスが走っているのを久しぶりに見かけた。観光客を乗せて市内の主要なポイントを巡回する「ホップオン・ホップオフ」バスも、3月以降、運行が休止していた。乗客はそれほど多くなかったものの、観光地・ホーチミンの姿が少しずつ戻ってきているようで嬉しい。この動きに水が差されることなく、明るく華やいだ街の姿を維持したまま、年末年始を迎えたいものだ。

 

 

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