- Home
- イスラエル, インドネシア, インドネシア, パキスタン, パキスタン, パレスチナ, バングラディシュ, バングラデシュ, 報道を読む
- イスラエルとハマスの停戦が発効もアジア紙は懐疑的な見方
イスラエルとハマスの停戦が発効もアジア紙は懐疑的な見方
いまだ光が見えないガザ情勢の人々の苦境に
- 2025/2/15
イスラエルとハマスの停戦が2025年1月19日に発効した。2023年10月から続いた戦闘は、すでに多くの犠牲者を出しており、再び戦闘状態に戻らないことが期待されている。
しかし、この停戦がいつまで続くのかについて、世界の多くの人が疑問視している。アジアの英字紙もこの話題を相次いで論じている。
インドネシア紙「カギを握るのはアメリカ」
インドネシアの英字紙ジャカルタポストは2025年1月17日付の社説でこの問題をとりあげた。
社説は、「停戦合意のニュースに私たちは歓喜しているが、2023年に戦争が始まって以来、これが初めての停戦宣言ではないことは承知している」と、慎重な姿勢を見せる。そのうえで、「今回は、停戦がこれまでよりも長続きし、さらには戦争終結につながるかもしれないと期待される」と指摘し、「そのカギを握るのは、アメリカだ」と続ける。
さらに社説は、イスラエルのネタニヤフ首相の責任を厳しく指摘し、こう述べている。
「問題は、ネタニヤフ首相自身にある。パレスチナ人とイスラエル人は平和を享受し、生活を営む権利がある。国連を通じて世界はこの停戦を確実に守り、双方が戦争を完全に終結させるための交渉を行えるようにしなければならない」
ネタニヤフ首相を厳しく批判するパキスタン紙
パキスタンの英字紙ドーンは、2025年2月17日付紙面で「もう二度と」と題した社説を掲載し、イスラエルのネタニヤフ政権をいっそう強く非難した。
社説はまず、「イスラエル側がこの合意を遵守する意思があるかどうかが、今後の展開を大きく左右する」と指摘する。
さらに、この停戦合意の意義について次のように語る。
「イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスが壊滅するまで戦闘を続けると豪語していたが、それは実現しなかった。イスラエルがパレスチナ武装グループと停戦協定を結んだことは、世界で最も装備が整った軍隊―アメリカの最新兵器を装備している軍隊―であっても、何千もの命を犠牲にしつつ自らの土地を手放すことを拒む人々の意志を打ち砕くことはできないことを示している」
社説は、停戦が恒久的なものとなることが望まれるとする一方で、「世界はイスラエルがこの小さな海岸地帯で何をしたかを忘れてはならない」と述べ、次のように訴えている。
「多くの殺人、レイプ、捕虜への虐待、凍死させられた赤ん坊、飢餓などの苦悩、奪われた清潔な水へのアクセス―。これらの戦争犯罪はすべて徹底的に調査され、犯罪者は処罰されなければならない」
ガザの人々の苦境を訴えるバングラデシュ紙
バングラデシュの英字紙デイリースターも2025年1月17日付の社説で、停戦が維持されるかどうかを論じた。
社説は、「停戦が発効したことに安堵感はあるが、現実を踏まえると、その効果には依然として甚大な疑念が残る」との見方を示す。
「イスラエルはガザ地区から完全に撤退することになっているが、ネタニヤフ首相が極右の連立パートナーに依存していることを考えると、イスラエルが完全に支配権を手放すかどうかは疑わしい」
さらに社説は、瓦礫と化したガザ北部にパレスチナ人の帰還を許可することは、「残酷な皮肉」だと指摘し、次のように述べる。
「彼らの家屋が再建されるまでの間、彼らを保護するためにいったいどんな準備がされているというのか」
「圧倒的かつ不均衡な報復を繰り返してきたイスラエルの歴史と、アメリカやその他の西側諸国の揺るぎないイスラエルへの支援を考えると、このプロセスにおいてパレスチナ人が公平に扱われるのかという問題には懐疑的にならざるを得ない。それでも、遅きに失したとはいえ、停戦は、世界、特にパレスチナの人々が切実に必要としているものである」
停戦をめぐりパレスチナの人々が抱える複雑な感情を、この社説は代弁している。
(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1885796/never-again
インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/01/17/truce-in-gaza-but-for-how-long.html
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/will-the-ceasefire-gaza-hold-3802641