自分たちの言葉は教会で学んだ
民族の誇り支えるキリスト教会の「寺子屋」

  • 2019/10/28

愛されるカチン語書籍

 基礎的な読み書きを教会で身に着けたカチン族の人々の中には、カチン語で書物を読むことを好む人もいる。多くはビルマ語でも読み書きができるものの、カチン語の書物も読んでいるという人たちだ。

ライカラウラ書店の店先に平積みにされているカチン語の書籍(筆者撮影)

 ミッチーナで最もカチン語の書物が充実しているという「ライカナウラ」書店は、ミッチーナのダウンタウンの中心部にひっそりとたたずんでいた。ビルマ語の書籍のほうが数は多いようだったが、カチン語の書籍は平積みにされており、目立つように陳列されていた。カチンの文化を紹介するものや、キリスト教のついての書物が多い。中には、武装勢力のカチン独立軍(KIA)やそのリーダーについて書かれたものもみられる。

 一般にカチン語と呼ばれるものは、カチン族の主要言語で、アルファベットで表記するジンポー語を指す。しかし正確に言うと、カチン族という集団はジンポー族のほか、リス族、ロンウォ族などサブグループの集合体だ。そしてリス語やロンウォ後はジンポー語とは意思疎通が困難なほど異なる言語だ。ライカナウラにはジンポー語の各種書籍のほか、わずかながら聖書などリス語の書籍も販売している。

キリスト教や民族の文化、政治など各種のカチン語書籍がある(筆者撮影)

 店主は「カチン語の書籍を並べる理由の一つは自分の言葉を守るため、そしてもう一つは商売のためだね」と話す。ミッチーナ市内ではビルマ族が経営する書店も多く、中にはカチン語の書物を販売しない店舗も少なくない。そんな中で、ライカナウラはカチン族の本の虫たちの根強い支持を受けているのだった。

 急速なデジタル化やグローバル化で世界各地で少数民族言語が減少している中で、教会や書店、ジャーナリスト、歌手らが各分野で、自分たちの言葉を使って文化を生み出してきている。こうした貴重な文化を守ろうとする地元の人たちの努力で言葉はその命を繋いできているのだろう。後世にわたって受け継がれ、より豊かな言語へと発展していくことを期待したい。

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