武装勢力兵士の切ない愛、カチン語で歌う
カチンの人気歌手・俳優のゾードエカウンさん

  • 2019/8/18

インディーズ版として流通

 ゾードゥエカウンさんによると、こうしたカチン語の音楽CDやDVDは、軍事政権時代から劇場映画やテレビなど公式な場にこそ登場しないものの、ある程度流通が許容されていたようだ。近年になり、政府登録の地元の業界団体が自主規制を始めたものの、それまでは事前の検閲は実質的に行われていなかったという。ある関係者は「だって役人のほとんどはビルマ族だから、カチン語がわからないだろう」と指摘している。ビルマ族が主体の当局と、カチン族の制作側とは、微妙なバランスがあったのだと推測できる。

ミッチーナでカチン語のCDやDVDを販売する店(筆者撮影)

 これは、日本に例えるとインディーズ版だといえる。カチン・インディーズのCDやDVDが町中のCDショップに並んだほか、知人を介して「手売り」していた。教会のミサでCDが紹介され、その場で販売するようなことも行われていた。一時はヒットすれば数万枚を売り上げることもできたという。ミャンマー語の音楽やドラマが氾濫するミッチーナだが、地元の人々からはカチン語で語り、カチン族の心情を表現するコンテンツが一定の支持を集めていたのだ。2017年には、初めてインディーズではなく映画館で上映されるカチン語映画「ジェイド・ワールド・フロム・マノーランド」が制作され、ミャンマーアカデミー賞に輝くなどカチン人アーチストの活動は活発化している面もある。

ページ:
1

2

3

関連記事

 

ランキング

  1.  2026年8月、ネパール中部を大規模な土石流が襲いました。ヒマラヤでは気候変動に伴う氷河の融解…
  2.  2026年8月26日、中国とネパールの国境地帯を大規模な氷河土石流が襲いました。気候変動による…
  3.  第2次トランプ政権の発足後、アメリカは国際開発庁(USAID)を廃止し、対外援助を大幅に削減し…
  4.  ミャンマー西部ラカイン州に多く暮らす少数派イスラム教徒ロヒンギャ。長年にわたり市民権を認められ…

ピックアップ記事

  1.  2017年8月25日、ミャンマー西部ラカイン州でロヒンギャの武装勢力が国境警察施設を襲撃したことを…
  2.  2016年7月1日にバングラデシュの首都ダッカで発生したホーリー・アーティザン・ベーカリー襲撃テロ…
  3.  2016年7月1日夜、バングラデシュの首都ダッカで、日本人7人を含む多くの命が奪われたホーリー…
  4.   ミャンマーの街角や人々の暮らしを伝える「Yangonかるた」と、その発想に触発されて誕生した…
  5.  30年前、内戦直後のカンボジアで、戦火をくぐり抜けて残った数本の在来種の胡椒の木を大切に育てる老農…
ページ上部へ戻る