イランとアメリカの仲介に名乗りを上げたパキスタン
隣国インドは和平協議をどう報じたか
- 2026/5/8
対立するイランとアメリカの協議の仲介国としてパキスタンが名乗りを上げ、両国は4月8日に一時的な停戦合意に至った。その後もアメリカ、イラン双方の外交団がそれぞれイスラマバードを訪れており、戦闘終結に向けた協議が直接的、間接的に続いているものの、5月7日にもホルムズ海峡周辺で攻撃の応酬が発生するなど、依然として不安定な情勢が続いている。
パキスタン紙は「賞賛に値する役割」と高く評価
パキスタンの英字紙ドーンは、4月27日付の社説で今回のパキスタンの仲介について高く評価し、諦めずに協議を続けるよう求めている。
社説は、両国の協議が難航する現状を踏まえつつ、「イランとアメリカ、双方が間接的であっても対話を続ければ、公正な合意に達することは可能だ。この点において、パキスタンの役割は称賛に値する」と、高く評価する。両国の交渉は必ずしも前進しているようには見えないが、社説は「4月26日にイランのアラグチ外相がイスラマバードからマスカットへ向かった後、アメリカのトランプ大統領が特使の派遣を拒否したとはいえ、勝負はまだ決しておらず、外交プロセスを救うための多忙な努力が続いている」と伝えている。
一方で、社説はアメリカに対し、「イランが屈服するという幻想を抱いてはならない。イラン人は痛みに耐える閾値(いきち)が高く、アメリカやイスラエルによる激しい爆撃、制裁、そして港湾封鎖に耐え抜いてきた」と指摘。「アメリカは、和平の意思を示すために封鎖を解除し、イランに実質的な制裁緩和を与えるのが賢明だ」と指摘する。
社説は、包括的な和平合意が短期間で実現するとは見ていないが、「平和に向けての枠組みは合意できるはずだ」と見通す。そのうえで、「まず、トランプ大統領とヘグセス戦争長官がイランを威嚇するような発言をやめることが大事だ」と主張する。
「時として、無謀な公の発言が、苦労して進められてきた裏チャンネルの和平努力を台無しにすることがある」
「大局を見失うな」と呼びかけるインド紙
パキスタンの今回の動きについて、インドはどう見ているのだろうか。インドの英字メディアタイムズ・オブ・インディアは、4月10日付の社説「論理的に考えよう」でこの話題を取り上げた。
社説は、「インド国内の一部ではイラン戦争におけるパキスタンの仲介役に対して不満の声が上がっている」と指摘する。しかし、社説はこの意見に同意するのではなく、「彼らはもう少し深く考えるべきだ。感情的に反応する前に、この件について冷静に考える価値がある」と、いさめている。
そのうえで、その理由について社説はこう説く。「誰が仲介したかより、仲介そのものの成功の方が重要だ。もしパキスタンがアメリカとイランの間でメッセージを伝達する手助けをし、両国の緊張を少しでも緩和するのであれば、それは全体としてプラスとなるはずだ」
パキスタンの仲介で和平が成立すれば、それは結果的に世界の安定に寄与することになり、ひいてはインドの経済的な繁栄や原油価格の低下、安定した海運ルート、地政学的リスクの低減など、直接的な利益へと結び付くため、その実利を考えるべきだという指摘だ。
「国益とは、誇りや競争心の問題ではなく、結果の問題なのだ。外交はゼロサムゲームではない。ある国が大きな役割を果たしたからといって、別の国の地位が損なわれることはない。世界におけるインドの地位は、独自の強みにより裏打ちされている。危機のさなかにどの国が脚光を浴びるかという点に気を取られていては、大局を見失いかねない」
パキスタンに対して「この一年間、トランプ大統領に媚びを売り続けてきた」と揶揄しながらも、「結果こそが外交だ」という、インドらしい現実的なスタンスがにじむ社説だ。
(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1995308/pathways-to-peace
インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/get-logical/













