「眠らないリーダー」は理想か インド紙が高市首相に投げかけた問い
「睡眠を削る指導者」は危険信号──科学と社会が変えたリーダー像
- 2026/8/6
「3時間睡眠が常態化している」──。高市早苗首相がXに投稿した自身の睡眠時間は日本国内で賛否を呼んだだけでなく、海外でも話題となっている。
インドの英字紙『タイムズ・オブ・インディア』は、この投稿を単なるニュースとして伝えただけでなく、「睡眠不足を誇るリーダー像は、もはや時代遅れではないか」という視点から社説を掲載した。睡眠を「弱さ」ではなく、健全な判断力やリーダーシップを支える重要な要素として捉える、現代社会の価値観の変化が表れている。
「睡眠を削るリーダー」はもう古い
高市首相は7月20日、自身のXで「久々に5時間も睡眠を取れた」と投稿し、連日の持ち帰り仕事に加え、掃除や洗濯などの家事に追われる多忙な日々を明かした。
タイムズ・オブ・インディア紙は7月22日、「首相就任以来、0~3時睡眠:日本の高市首相の投稿が議論を呼ぶ」と題した記事を掲載した。首相の投稿内容を英訳するとともに、日本のメディアも引用しながら、与野党から寄せられた反応も詳しく紹介している。
続く24日には、「高市首相の3時間睡眠に健康上の懸念:短時間睡眠は作業効率を低下させる恐れがある――脳はどのぐらいの睡眠を必要としているのか」と題した記事で、睡眠不足が認知機能や健康に及ぼす影響を科学的な知見を交えて解説した。
そして同じ7月24日、社説「Be Somnological(睡眠を科学する)」では、この話題をさらに掘り下げ、「睡眠不足を誇るリーダー像」そのものに疑問を投げかけた。
社説は冒頭で、「鉄の女」と呼ばれたイギリスのマーガレット・サッチャー元首相が「1日4時間しか眠らない」と語っていた逸話を紹介。ナポレオンにも同様の言葉が伝えられており、長時間働き、睡眠を削ることは、かつて指導者の強さや献身の象徴と考えられてきたと振り返る。
脳を休ませることもリーダーの責任
さらに社説は「時代は変わった」と指摘し、高市首相の「3時間睡眠」発言は、「名誉の証」ではなく、「スイッチを切れない指導者」を象徴する危険信号として受け止められた、と指摘する。睡眠は単に活動を止める時間ではなく、脳が情報を整理し、心身を回復させ、判断力や集中力を維持するために欠かせない時間だという認識が広がっているというのだ。かのシェイクスピアも、睡眠を「傷ついた心の癒やし」と呼んでいたという。
そのうえで社説は、この問題は日本だけではないと指摘。インドでは夜間の気温上昇によって、大都市の住民は年間65~93時間もの睡眠を失っており、さまざまな健康問題につながっていると懸念する。
社説は、高市首相やサッチャー元首相、ナポレオンが、遺伝的に短い睡眠でも活動できる人なのかもしれないという可能性は認めながらも、「睡眠は社会全体で守るべき“集団的なニーズ”である」と強調。「今や、トップアスリートがパフォーマンス向上のために睡眠コーチを雇う時代だ。政治家も睡眠を軽視すべきではない」と述べ、「4時間しか眠れなかったと誇る時代は終わった。睡眠を大切にしている方が、はるかにクールだ」と、結んでいる。
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高市首相の投稿をきっかけに、インド紙が問いかけたのは睡眠時間そのものではない。「リーダーは休まず働くべきだ」という価値観は、いまも通用するのか。社説は、科学的な知見を踏まえながら、「休まず働くこと」を美徳とする価値観そのものを問い直し、新しい時代のリーダー像を読者に問いかけている。
(原文)
インド:
③ https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/be-somnological/













