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相次ぐパレスチナの国家承認、連帯の真価を問われる国際社会
「ガザの悲劇はもはや無視できない」具体的な行動を求める南アジアの叫び
- 2025/10/10
イギリスのスターマー首相は9月21日、パレスチナを国家として正式に認めると発表した。この日、カナダ、オーストラリア、ポルトガルが、翌日にはフランスが、それぞれパレスチナの国家承認を正式表明した。この動きを南アジア諸国がどう報じたか、紹介する。
なお、パレスチナの国家承認の動きが相次いだことに対して、イスラエルやアメリカは「ハマスへの報酬だ」として反発を隠していなかったものの、アメリカのトランプ大統領は10月8日、イスラエルとハマスが和平案に向けて「第1段階で合意」したことを発表。10月10日には、イスラエル政府がガザの停戦を閣議決定し、2年が経つガザの戦禍が真に終結するのか、推移が注目されている。
パレスチナにとって大きな勝利
スリランカの英字紙デイリースターは、9月25日付で「象徴的な勝利」と題した社説を掲載した。
イギリスをはじめとする西側諸国が相次いでパレスチナを国家承認したことについて、社説は「6万5,000人以上の命が失われている壊滅的な戦争の渦中において、これはパレスチナにとって大きな勝利である。スリランカを含むグローバルサウス諸国は数年前からパレスチナ国家を承認していたが、西側諸国の多くは、アメリカやイスラエルとの関係に支障がないよう、国家承認には消極的だった。そんな彼らが今回、この決定に踏み切ったのは、ガザの悲劇がもはや無視できないことを示している」と述べた。
同紙は、「現実的な解決策が見出せずにいる現状、国家承認は、象徴的な意味合いが強い」としながらも、「多くの西側諸国が、『イスラエル支持派』と見られることを警戒していることを示している」としている。
国家承認だけでなく具体的な行動を
バングラデシュの英字紙デイリースターは、9月22日付の社説「パレスチナ承認は行動で裏付けよ」で、この問題を取り上げた。
同紙は、「イギリス、カナダ、オーストラリア、ポルトガルがパレスチナを国家として正式に承認した重要性は、いくら強調してもし過ぎることはない」と述べている。なかでもイギリスによる国家承認は、「特別な重みをもつ」と社説は強調した。なぜならイギリスは、かつてバルフォア宣言(編集注:1917年、パレスチナの地にユダヤ人が国家建設することを支持した宣言)を通じて、イスラエル建国に重要な役割を果たしたからだ。
しかし、「象徴的な行為だけではガザの虐殺を止めることはできない」と、社説は強く警告する。そして、「具体的な行動」として、人道支援のための回廊開設、イスラエルによるパレスチナ併合の阻止、停戦のための最大限の圧力行使などを挙げた。そのうえで、イスラエルが国際法のもとでパレスチナ人の大量虐殺について裁かれることが「決定的に重要」だと断じている。
国際社会は「麻痺状態」
パキスタンの英字紙ドーンも、9月22日付けの社説で「もはや無為は許されない」と、国際社会に具体的な行動を求めた。
「国際社会の麻痺状態は驚くべきものだ」と、社説は痛烈に批判する。「国連総会に向けて、世界の指導者たちがニューヨークに集結している。それでも彼らが引き続き、ガザの人々に哀悼の意を示すだけでイスラエルの虐殺を終わらせる確固たる計画を提示しないのであれば、大きな失望となる」と述べる。
また、アメリカがパレスチナ代表団へのビザ発給を阻止したことを指摘し、「トランプ政権は、ハマスだけではなく、パレスチナとその国民すべてを敵に回した」と、アメリカを強く非難した。
そのうえで、国際社会に対してこう訴える。
「アメリカが拒否権を発動することで安保理を機能不全に陥れようとするのなら、世界の多数派は国連総会を舞台に、ガザ問題への強いメッセージを発信するべきだ。イスラエルが停戦を約束するまで、外交的・経済的にイスラエルを孤立させるのだ」。
(原文)
スリランカ:
https://www.dailynews.lk/2025/09/25/editorial/863500/a-symbolic-victory/
バングラデシュ:
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1943802/no-more-inaction













