イスラエル・イラン紛争 停戦に懐疑的なアジア諸国の声
アメリカとイスラエルがイランに強要した「不正な戦争」
- 2025/7/9
イスラエルは6月13日、イランの核関連施設や弾道ミサイル工場などを標的とした大規模な攻撃を行い、12日間にわたりイランと交戦した。その後、トランプ米大統領はイスラエルとイランの「完全かつ全面的な停戦」が発効したと表明した。
「米国はイスラエルを制御せよ」
インドの英字紙ヒンドゥーは、6月27日付の社説で「西アジアの平和と安定のために、イスラエルを抑え込まねばならない」と主張した。
社説は、「イスラエルはこの『歴史的な勝利』によってイランの核開発計画を数年遅らせたとしている」としたうえで、「しかし、現実はそう簡単な話ではない」と指摘する。
確かに、イランが攻撃により被った損失は甚大だ。指揮系統は破壊され、空軍防衛システムは機能不全に陥り、600人以上もの人々が死亡した。しかも、死者の大半は、民間人だという。「イランが失ったものを再建するには数十年はかかる」と社説は嘆く。
だが一方で、「戦争の勝敗は物質的な損失だけで決まるわけではない」と社説は主張する。「これほどの損失にもかかわらず、イランは降伏を拒否している」と社説は述べ、現状では両国の関係はまったく改善しておらず、西アジアの不安定さに拍車がかかる可能性があると指摘した。
さらに社説は、「緊急の外交的な解決が必要だ」として、米国の役割に言及する。まず、イランに対しては、「核開発プログラムに制限を課す代わりに、経済的な見返りを約束する交渉」が必要だと指摘。そしてもう一つ、米国はイスラエルを制御する必要がある、と強調している。
信頼なき停戦の危うさ
バングラデシュの英字紙デイリースターもまた、6月24日付の社説で、停戦に懐疑的な姿勢を示している。
社説は、イスラエルが停戦発表直後にイランが2発の弾道ミサイルを発射したと非難し報復を宣言するなど、依然として緊迫した状況が続いていることに言及。「両国が停戦イニシアチブに合意したことは歓迎するが、双方には持続的な信頼と善意が欠けており、いつ平和が損なわれるかは分からない」と述べ、停戦の危うさを指摘した。
そのうえで社説は、今回の対立を「混乱した、グローバルな秩序の野蛮な顔」と表現し、この対立を、「核武装した2つの覇権国家が、核を持たないイランに強要した不正な戦争」だと位置付ける。そして、「この戦争によって、すでにグローバルな石油市場とサプライチェーンは不安定化している。武力衝突が継続すれば、その影響は中東をはるかに超えて、バングラデシュに及ぶ」と主張。「永久的な停戦以外に選択肢はない。責任はイスラエルとその支援国にある」と、強調している。
この紛争は「多極化した世界の帰結」
インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは、停戦前の6月19日付の社説でアメリカの「存在感」に言及した。
社説は、「我々は今、現代史における最も暗黒な時代の一つを生きている。中東での紛争は、どの国も他国にルールを課すことができないという、多極化した世界の帰結かもしれない」と表現する。
そして、そのなかでアメリカという国の果たす役割について、次のように述べる。「近年、アメリカの衰退を指摘する声は多い。だが、トランプ政権がイスラエルとイランの紛争において、たとえ結果が変わらなくとも、状況を変えられるだけの影響力を有している可能性があるのは事実だ。アメリカは依然として世界最強の軍事力を有しており、この状況を緩和するために介入できる力があるはずだ」
インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/06/19/quagmire-anyone.html













